緯摩池における対策が必要な移入種

生物多様性

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緯摩池における対策が必要な移入種
━　緯摩池開発の失敗を繰り返さないために　━
　

　尾張旭市内には江戸時代につくられた農業用のため池がいくつかあります。そのうちのひとつが市北部丘陵地の緯摩池（いまいけ）です。1950年代の緯摩池の畔には地域固有の湿性植物が繁茂し、美しい景観を呈していたそうです（注１）。しかし、2004年頃から開始された池整備事業によってこれらの固有種はことごとく埋め立てられ、二度とその姿をみることができなくなってしまいました。その一方で、もともとこの地にはなかった植物が植栽され、現在では、どこの町でも見られるありふれた風景になってしまったと、池周辺に長らく住む人々は嘆息交じりに語ります。

　愛知県は、2012年から移入種対策を行ってます。県の定義による移入種とは、「人為によって意図的に本来の生息・生育地と異なる場所に持ち込まれ，あるいは人為に伴って非意図的に本来の生息・生育地と異なる場所に入り込み，一時的にでも定着してその場所で人間の力を借りずに世代を繰り返している生物」を指します。県内で確認された移入種は、「愛知県移入種対策ハンドブック」（付属資料編ーブルーデータブックあいち2012－県内に生息生育が確認されている移入種のリスト）として公開されています(注2）。
同ハンドブックには、県内で生息生育が確認された移入種の動物285種、植物845種が指定されています。これらの移入種の中でも繁殖力が強く、県内の生物多様性に大きな影響を及ぼすおそれのある移入種に関しては、県は「対策が必要な移入種」に指定し、県民にそれらの取り扱いに注意を喚起して駆除の協力を呼び掛けています。
　では、緯摩池には「対策が必要な移入種」としてどのような生物が生息しているのでしょうか。調べてみました。

調査期間と範囲は次の通り。
調査範囲：緯摩池堤防法面の内側
調査期間：2012年6月1日～11月１５日

調査により、次のような結果が得られました。
１．「ブルーデータブックあいち2012－県内に生息生育が確認されている移入種のリスト」（以下「ブルーデータブックあいち」と略す）に登録されている移入種のうち、緯摩池では少なくとも9種の生息生育が確認されました。
２．「ブルーデータブックあいち」に登録されている移入種のうち、愛知県内では対策が必要な生物には指定されていないが、環境省の特定外来生物等一覧に指定され、その飼養、栽培、保管、運搬、輸入等の規制を行うとともに、必要に応じて国や自治体が野外等の外来生物の防除を行うことができる生物に関しては、1種の生育が確認されました。
３．「ブルーデータブックあいち」に登録されている移入種のうち、愛知県内では対策が必要な生物には指定されていないが、環境省の要注意外来生物リスト(注）に登録され、その取扱いに注意が求められている生物として少なくとも8種の生息生育が確認されました。
４．「ブルーデータブックあいち」に登録されているが、現在のところ対策が必要とは認定されていない生物のうち、緯摩池で生息生育が確認された種は多数にのぼります。
５．「ブルーデータブックあいち」には未登録であるが、緯摩池において多数の生育が確認された移入種は1種でした。
（詳細については注３に記す）

　移入種のもたらす問題として、愛知県は次のような点を指摘しています。
　まず、生物多様性への影響です。
　地域には、歴史と環境に応じて発達した生物が生息し、それがその土地固有の生態系を形成しますが、移入種は、この固有の生態系を破壊するおそれがあります。また、一定の環境に他の地域の生物が侵入することで、一定の受け入れ容量しかない環境内で、繁殖力旺盛な移入種が増える一方で固有種が減少し、その結果、生物多様性を破壊して自然の画一化をもたらすことになります。
　次に、固有種と移入種が交雑することで固有種の遺伝子をもつ個体が減少をしたり、絶滅する恐れがあります。
　また、一度遺伝子の攪乱が広がると元の状態に戻すのは困難で、交雑種の方が固有種よりも強力な繁殖力を獲得した結果、生態系を破壊する危険もあります。
　さらに、農業に被害を与えたり、これまでになかった病気の原因になるなど、人への影響も計り知れません。

　緯摩池に移入種が生息・生育するようになった主な原因は、人間の活動に伴ない繁殖力の強い移入種が緯摩池に侵入してきたことにあると考えられます。例えば、ミシシッピアカミミガメのようにペットを持て余して池に放流するなど、生物をペットとして飼う人々の無責任や身勝手な行動も原因のひとつとなっていると考えられます。また、強い繁殖力で駆除の必要のあるオオキンケイギクなどの植物を花がきれいだからという理由で花壇に植えるなど、池周辺を管理する市や県の職員に生物多様性や移入種に関する知識が不足していることも原因の一つになっているのではないかと思われます。
　名古屋市や瀬戸市など尾張旭市の周辺自治体や民間企業では、植樹にはその土地の樹木を選定することがすでに常識になっており、移入種対策の観点から尾張旭市に一歩先んじています。しかしながら、「ブルーデータブック」で県が問題としているのは、種としての移入種の侵入だけでなく、県内で生育・生息している生物が有している遺伝子以外の遺伝子をもつ生物の侵入も遺伝子の攪乱の原因となることから対策が必要だと指摘しています。

　繁殖力が強く雑食性のオオクチバスやヌートリアの増加は、もともとこの池に生息していた魚類やヤゴなどの昆虫類を餌食にして在来種の減少という生態系の変化をもたらし、魚類や昆虫類を含めた食物連鎖の上位に位置する渡り鳥の渡来にも影響を与えています。かつて、冬になると緯摩池には池面を覆うほどのカモ類が渡来していましたが、2005年頃からその数が激減し、2009年には、とうとう1羽も飛来しなくなりました。ゼロという数字がこの池の生態系破壊の深刻さを物語っています。

　ところで、緯摩池の約300ｍ東には濁池（にごりいけ）という緯摩池と同時期に作られたため池があります。これまで開発を免れた池周辺は、雑木が人の侵入を阻んでいることから、絶滅危惧種指定の昆虫が多く生息し、冬には市内の他の池には渡来しないカモ類の飛来しています。さらに、市の事前調査によると希少種の魚類、水生昆虫の生息も確認されています。このように市内でも自然環境が良好に保たれた濁池ですが、現在、その周囲への散歩道の設置計画が進められています。
　尾張旭市ＨＰに公表されている資料によると、2008年、5回にわたり同計画に関する市主催のワークショップが開催されています。しかしながら、計画には生物多様性低下を防止するための具体策は全く盛り込まれていません。
　このワークショップには「自然保護活動家」という属性が公開資料に明記される形でＴ会のＹ氏が参加し、全員一致で開発計画に賛同したと記されています。同氏は濁池開発に対して「自然保護活動家」の立場からどのような意見を述べたのでしょうか。(資料には参加者氏名が公表されていることから、Ｙ氏の氏名を明記しても差し支えないものと思われますが・・・）
また、Ｔ会の某会員はこの濁池開発に反対していますが、どうして、同会は市に反対意見を直接申し述べないでしょうか。Ｔ会や会員は様々な形で市から助成金や補助金を受けていますが、その総額は公開されていません。
市の開発に関する自然保護団体の責任と存在意義が問われます。

　生物多様性保全対策が施されることなく濁池の開発がすすめられた場合、現在の緯摩池同様に生物多様性の低下が発生することが容易に想像されます。実際、濁池北側道路には既に栽培種（移入種）の植物が栽培されています。他県では希少種の生息が確認されている場所の工事を行う場合、工事開始前に希少種を他の場所に移して保護するなどの措置が取られていますが、濁池の場合は、既に工事が始まっていますがこのような保護措置が取られた様子はなく、水抜きで浅くなった池にはいつもは見られないアジサシやサギ類がやってきて希少種を含めた水生生物を餌としてとらえていると考えられます。

　一度破壊された生態系は二度と戻りません。計画段階から移入種流入の防止策が必要です。
具体的には、
１、工事前に希少種の保護、移動（すでに手遅れ）
２、移入種の放流の禁止の徹底
３、鳥類の繁殖を妨げないように魚釣りの場所や時期の制限
４、生物多様性の専門家を招へいし、移入種侵入防止策を策定する
５、東浦町のように職員を含めて池周辺の自然に関わる人々に資格制度を設ける。
　　ひとつには、「生物多様性の専門家」による講座を受講させる、など
６、他の自治体ではボランティア（無償行為）であるはずの自然保護活動が特定の市民の経済活動にならないよう、団体ごとに交付された補助金、助成金の公開
７、自然に関わる活動に関しては、具体的な活動計画（日時、内容）を活動現場に表示すること
８、市は、市民の誰もが納得できるような「自然保護活動家」の定義を明らかにすべき

今や、生物多様性を損失させない開発を行うことは日本の全ての自治体に課せられた課題です。緯摩池の轍を踏まないように、市民は濁池開発の監視を行うことが必要です。

（注1）
2007年2月24日開催の講演会「尾張旭市の豊かな自然」
飯尾俊介氏「　尾張旭市のため池・湿地植物の消長」の講演より
1965年12月実施の調査結果　緯摩池出現植物リスト
１．沈水植物　　不明のフラスコモ2種、オグラノフサモ、　クロモ
２．浮葉植物　　ジュンサイ、ガガブタ、ヒツジグサ、ヒルムシロ、ミズヒキモ
３．挺水植物　　ヨシ、ホタルイ、ヒメコウホネ、マコモ、アシカキ
４．湿地植物　　ヒメミミカキグサ、ムラサキミミカキグサ、ホザキノミミカキグサ、
　　　　　　　　ミミカキグサ、トウカイモウセンゴケ、モウセンゴケ、タチモ、
　　　　　　　　ミズカキグサ、イヌノハナヒゲ、ホタルイ、ヒメホタルイ、
　　　　　　　　カンガレイ、アゼムシロ、アゼナ、アゼトウガラシ
　　　　　　　　サワトウガラシ、トキワハゼ

（注２）
愛知県移入種対策ハンドブック
　

http://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/gairai/book.html

　
○付属資料編－ブルーデータブックあいち2012－
　　５．愛知県の移入動植物
　　　　　　県内に生息生育が確認されている移入種リスト
　〇ブルーデータブックの意義と目的について
「愛知県移入種対策ハンドブック」からそれぞれの項目をクリックしてください

（注3）

Ⅰ. 「ブルーデータブックあいち2012－県内に生息生育が確認されている移入種のリスト」に登録されている移入種のうち、緯摩池で生息生育が確認された生物
Ⅰ－１　対策が必要な移入種「ブルーデータブックあいち2012－県内に生息生育が確認されている移入種のリスト」(以下、「ブルーデータあいち」と略す）に登録されている移入種のうち、生物多様性に重大な影響を及ぼすことから対策が必要だと指定された移入種は30種で、緯摩池ではこのうち少なくとも９種の生息が確認されました。環境省は、移入種に対する対策として、入れない、捨てない、拡げない、を呼び掛けています。なお、それぞれの種の対策については、 http://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/gairai/book.html 　から「本編第2章愛知県内で対策が必要な移入種」をご覧ください。
分類群	種名
哺乳類	ヌートリア
爬虫類	ミシシッピアカミミガメ
魚類	オオクチバス
	ブルーギル
	コイ
甲殻類	アメリカザリガニ
植物	オオキンケイギク
	キショウブ
	ハリエンジュ

Ⅰ－２．　環境省特定外来生物一覧指定の生物

「ブルーデータブックあいち」に登録されている移入種のうち、愛知県内では対策が必要な生物には指定されていないが、環境省の特定外来生物等一覧(注）に指定され、法律によってその飼養、栽培、保管、運搬、輸入等の規制を行うとともに、必要に応じて国や自治体が野外等の外来生物の防除を行うことができる緯摩池で生息が確認された生物。

(注）環境省特別外外来生物等一覧

http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/list/index.html

両生類

ウシガエル

Ⅰ－３．環境省要注意外来生物リスト指定の生物「ブルーデータブックあいち」に登録されている移入種のうち、愛知県内では対策が必要な生物には指定されていないが、環境省の要注意外来生物リスト(注）に登録されていて、その取扱いに注意が求められていて、緯摩池で生息生育が確認された生物。 (注）環境省要注意外来生物リスト：魚類 http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/list_gyo.html 　　環境省要注意外来生物リスト：植物 http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/list_sho.html
分類群	種名
魚類	カムルチー
植物	ホテイアオイ
	ハルジオン
	ワルナスビ
	ヘラオオバコ
	オオアレチノギク
	コセンダングサ
	セイタカアワダチソウ

Ⅰ－４．移入種として指定されている生物「ブルーデータあいち」に登録されている移入種のうち、現在のところ対策が必要とは認定されていないが、緯摩池で生息生育が確認された生物
魚類	メダカ、など
昆虫	モンシロチョウ、など
動物	ノネコ、など
植物	クヌギ、など

Ⅱ「ブルーデータあいち」に未登録だが、緯摩池で生息生育が確認された移入種
Ⅱ－１「ブルーデータあいち」には未登録であるが、緯摩池で多数の生息が確認された移入種
植物	ハナモモをはじめ、多数の移入種と栽培種

追加資料

「ブルーデータあいち」に登録されている移入種のうち、緯摩池で生息生育が確認された愛知県内で対策が必要とされた移入種、あるいは環境省特定外来生物等一覧、要注意外来生物に指定されている生物に関する詳細情報
ヌートリア	2008．07．21
ヌートリアは南アメリカ原産の哺乳類で、日本には１９３９年フランスから１５０頭が毛皮用に輸入され、全国で４万頭が飼育されるようになりました。ところが、１９５０年代に毛皮ブームが去ると、野に放たれて野生化したようです。繁殖は年２、３回で、季節は問わないようです。・ヌートリアが対策を必要とする移入種に登録されているのは、日本で本種と同じニッチを占める哺乳類が生息しないために、食草である水生植物を大量に捕食し、水鳥などと餌資源をめぐる競合関係が生じる可能性があることや、農産物への食害と岸辺への営巣（巣穴）により、水田のイネや畑の根菜類に大きな被害を及ぼすことが、その理由となっています。・緯摩池の現状朝、夕に水生植物の茎や根などを食べる、と図鑑には書かれていますが、ヌートリアを見つけた子供たちがポテトチップスをやると食べていましたので、食性はもっと広いらしく、田畑の作物にも被害が出ているようです。日中は水辺の草の上で昼寝しているのを見かけます。後ろ足に水かきがあり、泳ぎも上手です。水中に潜ることもできるようです。メスは定住するそうですが、オスは行動範囲が広く、移動するようです。緯摩池では、ほぼ毎年繁殖が確認されています。子ヌートリアに野菜などの餌を与えている例もありました。
ミシシッピアカミミガメ	2009．06．23
ミシシッピアカミミガメは日本の侵略的外来種ワースト100（日本生態学界)、世界の侵略的外来種ワースト100（IUCN)にも指定されています。・緯摩池の現状観察地域内では、緯摩池だけでなく複数の池での生息が確認されています。繁殖期になると、池の土手の上や池付近の草地、道路を歩いているのを見かけることがあります。産卵地を探しているのかもしれません。春、池の浅瀬を占拠して甲羅干しをする様子から、緯摩池には数千匹のアカミミガメが生息していると考えられ、甲羅の長さが２０ｃｍ以上もある大きなカメもいますが、小さなカメも見かけることから、毎年繁殖を重ね、その数を増やしていることがうかがえます。大きな鯉の死骸に群がっていることもあります。ヤゴを捕食するので、トンボなどの在来種の減少が懸念されます。
オオクチバス　　（通称：ブラックバス）	.
・登録理由在来種の魚類や水生生物だけでなく、陸上の昆虫なども捕食することから、在来種に大きな影響を与えることが知られています。・緯摩池の現状緯摩池はバス釣りマニアの間では「５０アップが回遊する」池として有名になっているほど、大物のオオクチバスが多数生息しているようです。これは、オオクチバスが長年にわたって放置されてきたことを物語っています。・対策網や池干しなど、捕獲のための様々な対策が取られているようです。県内の他の池では、オオクチバス駆除に有効な方法として、中部地方環境事務所が池干しによる駆除を実施して自治体もあるようです。その他の対策としては、人工的な産卵床の設置や池干し、網や釣りによる捕獲、池の水位調整により卵を干上がらせるなど。
ブルーギル	.
・なんでも食べ、繁殖力が強く、爆発的に数を増やすので生態系に与える影響が甚大。春先には数センチだったブルーギルも、夏には20センチほどに成長し、群れをつくって泳いでいるのが確認できます。・対策オオクチバスと同じ
コイ	.
・登録理由天敵がいないので大型化し、水草、魚類、昆虫類、貝類などの在来種を食べ尽くしてしまう恐れがある。・対策捕獲する他に、餌をやらないようにすることが必要になるようです。
アメリカザリガニ	2009.07.12
1930年頃食用ガエルの餌としてアメリカから輸入されたものが逃げ出したと考えられ、今では沖縄を含め全国各地に分布を広げています。初期の爆発的な増加の時期を過ぎ、在来種との折り合いをつけているようにも見えますが、旺盛な捕食者として在来の魚や貝、水生昆虫にとどまらず、貴重な水草にも影響を与えているとの理由で特定外来生物に指定されています。緯摩池では、特に北岸で多く見かけます。
オオキンケイギク	2007.05.24
緯摩池では、法律で栽培が禁止されているオオキンケイギクが花壇で栽培されています。オオキンケイギクは、北アメリカ原産のキク科の植物で、1880年代に観賞用、緑化材料として国内各地に導入されました。開花期は５～７月で、高さは３０～７０ｃｍほど。路傍、河川敷、線路際、海岸などに生育し、繁殖力が旺盛で、種子は風で運ばれ易い性質から平成１８年２月に外来生物法で特定外来生物に指定され、栽培、譲渡などが禁止されています。・オオキンケイギクの見分け方上の写真がオオキンケイギクです。5月から7月頃に黄色いコスモスのような花を咲かせます。オオキンケイギクに似ている栽培種もあります。詳しい見分け方については、下記の環境省ホームページより「オオキンケイギク」欄をご覧ください。　環境省ホームページＵＲＬ　http://www.env.go.jp/nature/intro/4document/manual/shokubutsu2.pdf ・オオキンケイギクを確認した場合オオキンケイギクを確認した場合には駆除が必要です。愛知県内の場合、愛知県環境部発行の「移入種対策ハンドブック」の駆除方法に基づいて行います。しかし、「移入種対策ハンドブック」には、種子ができる前の少量のオオキンケイギクが民家の庭で確認された場合の駆除方法については言及されていません。繁殖力が強いので、1回で完全に駆除することは難しいようです。数年間は繰り返し駆除を行う必要があります。自宅内であっても、すでに種子ができている場合は、愛知県環境部自然環境課　野生生物グループ　（TEL 052-954-6230）の指導に従う必要があります。自宅以外の場所で発見した場合その土地の所有者に在来生態系への影響が危惧され、栽培等が法律で禁じられている植物であることを周知します。広範囲にわたる駆除、および自治体による駆除法律上の手続きに従って行います。詳細は愛知県環境部発行の移入種対策ハンドブックを参照ください。　http://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/gairai/04_honpen3.pdf
キショウブ	2007．05．16
キショウブは、ヨーロッパ～西アジア原産、南北アメリカ、北アフリカ、ニュージーランドに分布する植物です。1896年頃に観賞用として導入され、現在では全国にみられます。キショウブは、繁殖力が強く、海外では水路等の雑草になっており、日本でも水辺の在来種と競合・駆逐のおそれがあります。ところが、美しい花が親しまれ、観賞用に栽培されることが多いため、分布を拡大するおそれが大きいことから環境省によって「要注意外来生物」に指定されています。・キショウブを栽培するうえでの注意点環境省のHPには、下記のような注意事項が記されています。　（http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/list_sho.html#12）「栽培にあたっては、管理されている場所や施設以外に、逸出を起こさない適切な方法で行うことが重要である。関係業者や利用者は、責任を持って栽培し、栽培できなくなった場合は野外へ遺棄することなく、適切な処分を行うことが必要である。既に野生化している湖沼等があり、在来種との競合・駆逐等のおそれがある場所については、積極的な防除または分布拡大の抑制策の検討が望まれる。ビオﾄｰプ創出等を目的とした水草の利用には、在来種を利用することが望まれる。」・緯摩池の現状緯摩池では、北、東岸に生息が確認されています。東岸の花壇では栽培されています。西岸には、テープで囲いを設けて保護・育成されています。
ハリエンジュ
成長が非常に速く、環境への適応力が高いマメ科の木です。「ニセアカシア」とも呼ばれます。河川敷などに侵入し、問題となっています。緯摩池では東、南岸で生育が確認されています。対策には、伐採・伐根、伐採後に土をかぶせる方法などが試験的に行われている。木を枯らす方法のひとつである「巻き枯らし」を行えば、芽が出にくいとされる。切り株からも発芽するため、切り株の薬剤処理なども必要なようです。
ホテイアオイ	（2012年6月1日撮影）
ホテイアオイは、浮遊性の水草で、水面を覆い尽くし光を遮ることで在来の水生植物の生存を脅かすとともに、アレロパシー作用（注３）等を通じて水生生物全体へ影響するおそれがあることから要注意外来生物に指定されています。また、日本の侵略的外来種ワースト100（日本生態学会)、世界の侵略的外来種ワースト100（IUCN)にも指定されています。・緯摩池におけるホテイアオイの繁殖状況緯摩池では、北側の橋付近に数株の繁殖が確認されています。・ホテイアオイを栽培するうえでの注意点ホテイアオイは、要注意外来生物のうち、「被害に係る一定の知見はあり、引き続き特定外来生物等への指定の適否について検討する外来生物」に区分されています。環境省のHPに掲載されているホテイアオイ栽培上の注意事項は次の通りです。　（http://www.env.go.jp/nature/intro/1outline/caution/list_sho.html#3）「栽培にあたっては、管理されている場所や施設以外に、逸出を起こさない適切な方法で行うことが重要である。・関係業者や利用者は、責任を持って栽培し、栽培できなくなった場合は野外へ遺棄することなく、適切な処分を行うことが必要である。湖沼の水質浄化やビオトープ創出等を目的とした水草の利用には、在来種を利用することが望まれる。」（注３）アレロパシー作用とはある植物が他の植物の生長を抑える物質を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称