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　野鳥

事故・事件簿
　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　

１、片目が閉じたままのウソ　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2007.02.03

通常は群れでいるウソ（♀）が､単独で草の穂をついばんでします。
５メートルほどに近づいても逃げていきません。双眼鏡で見て見ると、左目が閉じたままです。しかし、草の穂をくちばしで的確にとらえているので、右目は見えるようです。
自然の中で生きていくのに片目の見えないハンディは大きいに違いありません。
翌日、同じ場所に行ってみましたが、姿はありませんでした。運良く仲間たちと落ち合えたらいいのですが・・

２、畑で防護ネットにかかったタシギ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2008.03.24

畑でモズの観察中に、畝に掛けられた防護ネットの下で何かがもがいているのを発見。近寄って見るとタシギでした。人間が近づいてきたことに気付いたタシギは姿勢を低くして隠れようとします。ネットはタシギに絡みついていて、解いてあげたいのですが観察者の手に余ることは明らかでした。
いつもは耕作をしている人の姿がある畑ですが、今日に限って誰もいません。畑の持ち主もわからないので、とにかく畑の真向かいのお宅に助けを求めに行くと、幸運にも、そこが畑の持ち主の方で、すぐに救助に来て下さいました。
タシギは相当もがいたらしく、ネットが羽に食い込んでいました。畑の持ち主さんはネットを噛み切ってタシギをネットから外し、両手で高く掲げてタシギを放ちました。が、タシギは羽ばたくこともなく地上に落ち、おぼつかない足取りで畑に隣接する梅林の中に入って行きました。飛び立つのを確認しようと離れた場所から見ていましたが、タシギは下草に見を隠して動く気配がありません。そのうち、いつもは来ないカラスがやってきて、梅の木に止まってタシギの方向を見ています。近くで様子を見ていてやってきたのかもしれません。カラスを追い払ってから、人間はいない方がいいのかもしれないと思い、その場を離れました。
タシギは前日まで近くの池で4羽確認されていました。多分そのうちの1羽に違いありません。
翌日、その池に行ってみましたが、3羽しかいません。梅林に戻って探してみましたが、見つかりませんでした。

４、ケリのヒナ、カラスにさらわれる

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2010.04.02
ケリのカップルが抱卵を開始していることは確認していました。が、卵が孵っているかどうかは不明でした。
4月2日午後、見張り役のケリが突然けたたましい声を発し、パートナーのケリに警戒の合図を送り始めました。西の空からカラスが姿を現しました。
見張り役のケリは近づいてくるカラスに向かって一直線に飛び立ち、体ごとカラスにぶつかって追い払おうとします。
しかし、ケリより体の大きなカラスはびくともせず、ゆったりとその場を周回します。
この様子を地上から見守っていたもう一羽のケリも飛び立ち、カラスに向かっていきます。どうやら、ケリは2羽でカラスに立ち向かう作戦のようです。
しかし、2羽の攻撃をやすやすとかわし、カラスは見張り役のいた地点にタッチアンドゴーをして悠々と飛び去って行きました。カラスは巣を守るケリもおびき出し、その隙を突いて巣を攻撃したのです。カラスの嘴にはケリのヒナが咥えられていました。
ケリのカップルは巣の上空を小さく2～3周した後、一羽は巣に、もう一羽は元の監視位置に戻りました。
カラスは、その後も、1羽で、あるいは、数羽で何度もやってきました。地上には、ヤマカガシも現れる時期です。
また、子育て中に他の親ケリが巣を襲う場面に遭遇したこともありました。
ヒナにとっても、親鳥にとっても、命がけの戦いが続きます。

このケリカップルの巣周辺では、２０１０年春、３つがいが巣をつくり、それぞれの巣から十羽前後のヒナが孵ったのですが、９月初旬まで生き残ったのはこのうちの１羽だけでした。

５、キジ（♂）、カラスに取り囲まれる　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2010.01.26

林縁の舗装されていない道に入っていくと、約１００メートル先の地面にたむろする10羽ほどのカラスの群れが目に入りました。決して珍しい光景ではなかったのですが、カラスたちは餌をついばむでもなく、何やら不穏な空気が漂っていました。
カラスは、背後から近づく人間の存在を、おそらく、認識しつつも、逃げる風でもなく、群れの中心に向かってじりじりと、その輪を絞りつつあるように見えました。
双眼鏡で確認して見ると、カラスの群れの中心にいたのはキジのオスでした。ことの発端はわかりませんが、とにかく、キジは微動だにせず、その場に立ちすくんでいるように見えました。
カラスが集団でキジを襲うということがあるのでしょうか。カラスを追い払うのは簡単でしたが、しばらく様子を見ることにしました。
カラスは、なおもキジに向かってじりじりと詰め寄っていきます。
その時、キジから10メートル奥の路地から人の姿が現れ、まず、キジが右手の林の中に、カラスたちも一斉に飛び立ち、ばらばらの方向へ飛び去って行きました。
未だに謎のままのキジとカラスの行動でした。